空前のキャンプブームや、ベビーカー、電動自転車の普及により、今や注文住宅の必須項目となった「土間収納(シューズクローク)」。玄関に溢れる靴や外遊び道具をスッキリ隠せる魔法のスペースですが、限られた敷地面積の中でこの土間収納を欲張りすぎた結果、肝心の「玄関そのもの」が使い物にならなくなったという失敗談が後を絶ちません。

「収納を増やせば家は片付く」という盲信が、なぜ玄関の満足度を下げてしまうのか。実体験エピソードから、面積配分の黄金比を学びましょう。

「通り抜けられる」が招く面積の無駄遣い

特に失敗が多いのが、玄関から土間収納を通り、そのままパントリーや廊下へ抜けられる「ウォークスルー型」の間取りです。通り抜けるためには、人が通るための「通路」を常に空けておく必要があり、実際の収納力は見た目ほど高くありません。

1. 家族全員が並べない「狭すぎる玄関ホール」

土間収納に面積を割きすぎた結果、メインの上がり框(かまち)が数10cmしか取れず、家族3〜4人が一斉に帰宅した際に大渋滞が発生する家があります。一人が靴を脱いでいる間、他の人は外で待たなければならない……。これでは、どんなに収納が立派でも、住み心地は「不便」そのものです。

2. 「隠す」ための壁が圧迫感を生む

土間収納をリビングから隠そうと壁を立てることで、玄関の視界が遮られ、数字上の面積以上に「狭い、暗い、閉塞感がある」と感じる玄関になってしまいます。入居1ヶ月で「収納を1帖減らしてでも、玄関を広く開放的にすべきだった」と後悔するポイントです。

【失敗談】「1.5帖の土間収納」を無理に作ったBさんの絶望

コンパクトな建売住宅を検討していたBさんは、どうしても土間収納が欲しくて、設計変更で無理やり玄関横に1.5帖のスペースを作りました。しかし、これが悪夢の始まりでした。

「ベビーカーを置こうと思って作ったのに、通路幅が狭すぎて、入れるときに壁をガリガリ削ってしまうんです。さらに、土間収納に壁を作ったせいで、玄関ドアを開けた瞬間に目の前が壁。以前の賃貸アパートの方が、玄関はよっぽど広々としていました」

Bさんの失敗は、収納の「面積」だけを見て、出し入れの「動作(ゆとり)」を考慮しなかったことにありました。結局、ベビーカーは土間収納に入れず、狭くなった玄関ホールに置くことになり、本来の目的は完全に崩壊してしまいました。

後悔しない「土間収納」間取りの鉄則

  • 「ウォークイン」より「壁面収納」を疑う:狭い面積なら、中に通路を作るウォークインタイプよりも、玄関の壁一面に深い扉付きの棚を作る方が、収納量は多く、玄関も広く使えます。
  • 「上がり框」の長さを優先する:玄関の使い勝手は、框(かまち)の長さで決まります。土間収納を作る前に、家族が二人並んで座れる長さを確保できているか確認してください。
  • 扉を「つけない」選択肢:圧迫感を防ぐために、土間収納の入り口をロールスクリーンやR垂れ壁にする。これだけで、視覚的な広がりは劇的に変わります。

収納は、あくまで「生活を便利にするための手段」です。松江市で新築注文住宅を建てる際、手段のために、毎日必ず通る玄関の「ゆとり」を犠牲にしていないか。間取り図に自分の足跡を書き込んで、その快適さを再点検してください。