「せっかくの注文住宅、外観もおしゃれにこだわりたい!」。そう考えて、建物をデコボコさせて立体感を出したり、複雑な屋根形状を組み合わせた「間取り」を検討していませんか?そのデザイン、実は10年後、20年後のあなたに「高額な修繕費」という名の請求書を突きつけることになります。
住宅のプロが、自分の家を建てる際に「総二階の四角い家」を選びがちなのは、決してセンスがないからではありません。10年後の外壁塗装において、建物の「凹凸」がいかにコストを跳ね上げるかを知り尽くしているからです。将来の家計を守るための、賢い外観設計の裏側を公開します。
なぜ「凹凸」が多いとメンテナンス費が高いのか?
同じ延べ床面積であっても、形状が複雑な家とシンプルな四角い家では、修繕費に1.5倍以上の差が出ることがあります。その理由は、現場作業の「手間」と「材料」にあります。
1. 外壁面積の増加と「役物(やくもの)」の多用
建物を凹凸させると、当然ながら外壁の表面積が増えます。塗装は面積単価ですので、面積が増えればストレートに費用に跳ね返ります。さらに、外壁の「角」に使用するコーナー部材(役物)は非常に高価です。角が多い間取りは、材料費だけで数十万円の差が出ることも珍しくありません。
2. 足場代の高騰と作業工数の増加
複雑な形状の家は、足場を組むのが非常に難しく、部材の量も増えます。また、入り組んだ部分(入隅・出隅)の塗装は職人の手間がかかるため、人件費も割高になります。塗装業者が見積もりを出す際、凹凸の多い家は「手間がかかる家」として、リスクを見込んだ高い金額を提示せざるを得ないのです。
【専門的リスク】「雨漏り」と「シーリング」の劣化
コスト面だけでなく、性能面でも凹凸はリスクになります。外壁材の継ぎ目である「シーリング」が最も劣化しやすく、雨漏りの原因になりやすいのは、建物の「角」の部分です。凹凸が多い間取りは、その「弱点」を自ら増やしていることになります。
10年後の点検で「角のシーリングが剥がれて下地が傷んでいます。補修にプラス50万円かかります」と言われた時、かつての「デザインへのこだわり」を呪う施主は多いものです。
デザインと節約を両立させる「賢い間取り」の工夫
「四角い家は味気ない」と感じる方に、プロが勧める妥協案は以下の通りです。
- 「凹凸」を外壁ではなく「軒(のき)」で出す:建物の箱自体はシンプルにしつつ、屋根を深く張り出させたり、庇(ひさし)のデザインを工夫したりすることで、修繕リスクを増やさずに立体感を演出できます。
- 素材の「貼り分け」で変化をつける:形を複雑にするのではなく、外壁の一部を木目調やタイル貼りにするなど、テクスチャの違いでデザイン性を高めます。
- 「バルコニー」を削る:建物の一部を凹ませて作るインナーバルコニーは、防水メンテナンスが非常に高額です。バルコニーをなくし、外壁ラインを真っ直ぐにするだけで、修繕費は劇的に下がります。
これから田原市で建て替えを検討する方は、家を建てるコスト(イニシャルコスト)だけでなく、住んでからのコスト(ランニングコスト)をトータルで考えること。10年後の自分に「あの時、この『間取り』にしてくれてありがとう」と言わせる家づくりを目指しましょう。