「日本人ならやっぱり畳の部屋が一つは欲しい」「親が泊まりに来た時に必要」「将来、仏間が必要になるかも」。こうした理由で、海津市で新築注文住宅の間取りには、当然のように和室や畳コーナーが組み込まれます。しかし、現代のライフスタイルにおいて、独立した和室が「入居1年で開かずの間」になるケースが急増しています。
不動産プロフェッショナルとして、そして多くの施主の本音を聞いてきた立場から、和室を作るべきか否か、その判断基準をシビアに提示します。
「あれば便利」は「なくても困らない」
和室を検討する際、最も多い理由が「客間として」です。しかし、現代において「親戚や友人が泊まりに来る回数」は年に何回あるでしょうか。数日のために、数坪(数百万円分)の面積を専用の和室として固定するのは、都市部の住宅においては極めて贅沢、あるいは非効率な投資です。
1. 掃除とメンテナンスの手間
畳はフローリングに比べて掃除機がかけにくく、ダニやカビのリスク、さらには数年ごとの「表替え」という維持費がかかります。また、和室に障子や襖(ふすま)を採用すると、子供やペットが破ってしまうストレスも付いて回ります。「間取り」に和室を入れるということは、それらのメンテナンスを受け入れる覚悟が必要ということです。
2. 家具の配置の難しさ
和室は「和」の空間として完成されているため、後から現代的なソファやデスクを置こうとすると、インテリアが崩壊します。結局、用途が限定されてしまい、普段使いしにくい「孤立した空間」になりがちです。
【解決策】「独立した和室」から「リビングの一部」へ
それでも「畳の質感が好き」という方に、プロが勧める後悔しない間取りは「小上がりの畳コーナー」です。
- リビングと一体化させる:壁で仕切られた和室ではなく、リビングの一角に3畳程度の畳スペースを設ける。これなら、普段はお子さんの遊び場や昼寝場所として活用でき、家族の存在を感じられます。
- 小上がりにして「収納」を増やす:畳の下を大容量の引き出し収納にすることで、リビングの散らかりを解消できます。これは独立した和室では不可能なメリットです。
- ロールスクリーンで簡易的に仕切る:年に数回の宿泊客には、リビングとの間に天井埋込のロールスクリーンやプリーツスクリーンを設けるだけで十分です。「個室」としての機能は、これだけで完結します。
「和室がないと格好がつかない」という親世代の価値観に惑わされず、今の自分たちの24時間の使い方を想像してください。もし、和室に座って過ごす時間が一日のうちで1時間もないのであれば、その面積をリビングの広さに回す方が、今の家づくり世代にとっては正解かもしれません。